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競争入札とは、最も有利な条件を示す者と契約を締結するために複数の契約希望者に内容や入札金額を書いた文書を提出させて、その内容や金額から契約者を決める方法です。競争入札の種類には、大きく分けて一般競争入札と指名競争入札があり、一般競争入札は資格要件に合致すれば誰でも自由に参加でき、指名競争入札は発注者が指名した業者だけが参加できます。
基本的な入札の流れ
資格取得について
入札に参加するためには、まず入札参加資格を取得しなければなりません。中央省庁については全省庁統一資格、外郭団体や地方自治体については各機関毎に発行される独自の資格が必要となります(一部の外郭団体では全省庁統一資格が適用される場合もあります)。
各機関にて、申請書内容と添付書類の審査、及び承認が行なわれます。また、発注機関によってはこの審査で資格ランクが決まります。審査期間は、発注機関によって多少の差はありますが、概ね数週間~一ヶ月というケースが多いようです。
審査後、参加資格証明書が郵送されます。
書類不備がない限り、基本的に落とされることはありませんが、できる限り時間的な余裕をもって申請して下さい。
情報収集について
入札情報の収集にはいくつかの方法があります。官報を使う、業界新聞を使う、口コミ、電話で問い合わせ・・・その中で、現在主流となっている収集方法が「各発注機関のホームページから探す」というやり方です。 収集した会員情報は、会員からの請求があった場合は、会員確認の後、開示、訂正、削除を行います。
各発注機関のホームページをブックマークしておき、毎朝新着公告をチェックするというやり方は、一見合理的で確実な方法のようにも思えますが、例えば以下のような問題を抱えています。
- 朝は全国の営業がサイトをチェックするために官公庁のサイトが重くなっており非効率
- 官公庁によっては毎朝更新されるとは限らず、無駄足に終わる可能性が高い
- 昼過ぎや夕方に更新される場合もあり、必ずしも朝にチェックすれば良いわけではない
- 見ている発注機関以外にもっと有益な公告を出している発注機関があるかもしれない
- 営業が時間をかけて1機関ごとにチェックしていく時間がもったいない
仕様書受領について
ほとんどの場合、官公庁まで出向き、名刺と引き換えに受け取ることになります。説明会が開催され、そこで受領するケースもあります。
入札豆知識 ~早ければいい、というわけではない~
発注機関で仕様書を受領する際、名刺と引き換えに台帳に会社名と担当者名を記入するケースが多いです。
つまり、その台帳を見ることで将来競合になり得る企業名をチェックできるわけです。
そう考えると、仕様書の受領はなるべく締め切り間際に行くことがお勧めです。そうすることで、入札参加企業をすべてチェックできるわけです。
但し、その台帳を目にすることが出来るのは1回のみ。慣れないうちは自社社員二人で訪問し、一人が企業名等を記載している間に、一人が台帳に書いてある内容の暗記に徹する・・・というやり方もいいかも知れません。
質問期間について
仕様書を読んで不明な部分を質問する期間が設けられています。定型のフォーマットに記載してメールで送ると、数日中に回答が届く仕組みです。この回答は入札に参加を表明した全ての企業で共有されることとなり、その時点で新たな仕様と位置づけられることになります。
入札慣れした企業の場合、この質問期間を利用して、仕様書の中でグレーな部分を「〇〇という解釈でよろしいでしょうか?」と誘導し、できるだけ自社に有利な仕様に変えていきます。
このあたりは営業の腕の見せ所です。入札について
また、金額の桁数もケアレスミスの多い項目です。仮に¥1,000,000の案件を¥100,000と記載して札入れし、落札してしまった場合、数字が確定してしまっている以上、訂正はできません。完全に原価割れしてしまい、赤字となってしまいます。
笑い話のようですが毎年、必ずと言っていいくらいに発生している事象です。金額の桁数には十分注意してください。
入札豆知識 ~落札結果はあくまで参考値~
札入れの金額を決める際に、過去の落札結果を参考にすることがありますが、あくまで参考値と思って下さい。と言うのも、仮に全く同じ案件であったとしても、景気動向や原油価格の高騰等の要因で、金額の相場は大きく変わります。
実際、2009年度は多くの入札案件で落札価格が大幅に下落し、昨年の落札結果をもとに札入れした企業の多くが軒並み惨敗するという結果になりました。
官公庁営業を始めて間もない企業では、大まかな相場を知るために、過去の類似案件の落札金額を知ることも重要ですが、それだけを鵜呑みにすることは大変危険です。
むしろ、入札に積極的に参加していくことで、他社の応札額を書き留めていく(開札時に各社の社名と応札額が公表されます)ことを続けていきましょう。
その蓄積により、競合となる企業が、原価に対してどのくらいの利益を乗せて応札しているかを分析することができます。
原価や人件費は変動しても、その企業が最低どのくらいの利益を乗せているかといった動向は、大きく変わるものではありません。
しかも、自社の参加した案件であれば、その時の原価も判明しているわけですから、落札結果で総額だけを分析するよりも、はるかに実戦的なデータと言えます。
そのためにも、できるだけ多くの入札に参加し、経験とデータを蓄積していくことを強くお勧めします。
開札について
入札参加企業が集められ、札入れした金額が読み上げられます。一般競争入札では、次点の企業より1円でも安く札入れした企業が落札できます。
以上が入札の大まかな流れになります。
入札資格さえ取得してしまえば各社とも対等の条件となりますから、あとはいかに多くの公告情報を収集し、参加できる入札を増やせるかにかかっていると言えます。